前回までのあらすじ
ヴィクトリアはおめでたが判明、しかしもし出産時に死亡した場合のアルバートの摂政就任を、すんなりと議会が承認しないために、夫妻で北部のトーリー党の貴族の館に視察旅行へ出かけました。
トーリー党の貴族の館へ泊って、ピール氏の蒸気機関車に乗せてもらったアルバートは、ピール氏との信頼関係を深めました。
ヴィクトリアも新しい技術や機械に関心を示すアルバートの言を聞き、蒸気機関車に乗ってみるのでした。
そしてピール氏の支持でアルバートは議会での摂政の承認を得たのでした。
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ヴィクトリア女王 第8話誕生のあらすじ
ヴィクトリアのお産が近づき、叔父のハノーファー王であるカンバーランド公爵がイギリスにやって来ました。
お産でヴィクトリアが亡くなったら、自分が次の国王になるという期待からです。
出産で王位継承者だった妻のシャーロット王女を亡くした経験のあるレオポルド叔父も心配してやってきていました。
ヴィクトリアはといえば、お腹の子供を大切にと言われるのが不満らしく、まるで大切な荷物を積んでいるみたいと言い、母ケント公妃が、自分はあなたを授乳して自分で育てたというと、レーゼン女男爵に、乳母を探して、自分は女王だし牛じゃないと、言い放っていました。
この人の母性本能はどうなっているのでしょうか。
また、レーゼン女男爵は、ヴィクトリアへの手紙係として、ヴィクトリア宛に来た手紙をより分ける役目をしていましたが、執事のペンジさんが、レーゼンが封を切らずに捨てる手紙を見て咎めます。
レーゼンはこの人は何年も前から(今で言うストーカーのような)手紙を寄越すが、女王が見る必要がないと言いました。
そして、ヴィクトリアはオープン屋根の馬車に乗って散歩中、その手紙の差出人にすみれの花を投げられます。
心配したアルバートが、次の日に一緒に馬車に乗って行ったところ、別の青年が馬車に寄って来て銃を向けました。
とっさにアルバートがかばって事なきを得ましたが、この青年は、ハノーファーからの指示を待てという手紙を持っていました。
カンバーランド叔父の差し金かと、レオポルド叔父らはいきり立ちますが、証拠がありません。
議会ではカンバーランド公爵はシカトされていました。
結局、手紙は襲撃者が自分で書いたもので、銃には弾丸が入っていなかったと裁判では責任能力を問われず、精神病院へ送られることになりました。
ヴィクトリアは、叔父レオポルドや母ケント公妃、アルバート公を従えて、王座から叔父カンバーランド公爵に、「自分は色々間違いをしたけど、あなたより良い女王になれると思う」と言うシーンはゴージャスです。
そしてアルバートの兄エルンストが、甥っ子は生まれたかとやって来ます。
女官のハリエット夫人に会いたいためのようでした。
夜に彼女の部屋へ行き、何やら頼みごとをしていました。
翌朝、アルバートが兄に詰め寄ると、ひと房の髪の毛をもらっただけと言います。
アルバートは一言も言い返しませんでしたが、我々視聴者は、「ダウントンアビー」でトルコ大使が部屋に侵入してきて、メアリー嬢に言ったセリフ「もう部屋に入ったからには、何もなくてもスキャンダルに」ということを覚えているので、その70年以上前の出来事でそれはないだろうと思った次第です。
また、ヴィクトリアが、ソファーでリラックスしてお腹にお菓子の入ったお皿を乗せてもくもくと食べているとき、レオポルド叔父が来て、自分の妻だったシャーロットも甘いものが好きだったが、医者に止められてかわいそうだった、お前のために祈っているという話をすると、上目遣いで叔父に無言でお皿を差し出すヴィクトリアが、いかにも甘やかされたヤンママという感じで笑えます。
レオポルド叔父はマロングラッセを一緒にもぐもぐ食べて、ほのぼのとしたいいシーンでしたが。
そして出産、ヴィクトリアは母やレーゼン、アルバートら愛する人たちに支えられ、長女ヴィクトリアが生まれました。
この子は完ぺきだというアルバート、小さいときから才気煥発でアルバートの最もお気に入りになる子です。
カンバーランド公爵は失意をあらわにして去り、それを見送る勝ち誇ったようなレオポルド叔父の満面の笑みが印象的でした。
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ヴィクトリア女王 第8話の感想
ヴィクトリア女王の前の国王、伯父ウィリアム4世は、先祖がハノーファー公だったため、正式にはイギリス国王兼ドイツのハノーファー公国の国王だったのですが、ハノーファー公国は女子の継承を認めないサリカ法が適用されていたのでヴィクトリア女王は継承できませんでした。
なので、ジョージ3世の5男で叔父のカンバーランド公爵がハノーファー公国の王となりました。
ジョージ3世の息子たちは評判の悪い人が多いですが、カンバーランド公爵はそのなかでダントツで、人殺し、近親相姦にレイプといった疑惑満載の人です。
彼に殴り殺された従者の亡霊が出るという噂まであります。
ヴィクトリアが女王になるまでに、亡き者にして自分が国王になろうとしたという疑惑はあるようですが、今回のエピの、まさか実際にあった事件で、女王を襲った犯人と結びつけるのはないでしょう。
それにこのエドワード・オックスフォードに襲撃された事件は、6月のことでありました。お産は11月です。
そもそもヴィクトリア女王の初産は、予定よりも3週間早かったそうだし、この時期にカンバーランド公爵がイギリスへ来たというのもフィクションだと思います。
アルバートの兄エルンストが、ハリエット夫人に逢いに来ることもなかったはずです。
レオポルド叔父まで来ていましたが、どうだったのでしょうか。
また、お産で亡くなったシャーロット王女の話が何度も出てきて、ヴィクトリアも、階下の使用人たちまでもが、女王にもしものことがあればクビになると、不安な様子でしたが、やや肥満体ではあったものの健康そのものの女王は、それほど心配することもなく、「他の者が耐えられるならこれくらいの痛みは私だって耐えられます」と言って、無事に生まれたということです。
アルバート公も、ヴィクトリア女王に鎮痛剤を与えようかという医師のすすめを鼻で笑って断ったというのは、周囲がドラマほどに心配していなかったという証拠ではないかと思いました。
第一話の冒頭、あらすじ紹介のときから、「周囲の大反対を押し切ってアルバート公と結婚」というのも事実と反しているし(ドラマのお話でも出て来なかったです)、こういう実在の人物を主人公にした歴史もので、なんでこんな事実と違う話を作るのか、解説を付けるのか理解できないです。
そういえば、よくよく伝記本を読み返してみると、アルバート公を摂政にというのが大問題になったということはなく、彼が21歳で成人したのですんなりと摂政として認められたようでした。
何度も言うように、メルバーン首相に見込まれて指導も受けた有能なアルバート公は、お産を繰り返しているヴィクトリア女王を手伝うために、側で重要書類などを読み聞かせて手伝っていたそうです。
そして、体調不良などで怠惰になって、政治的な細かいことに興味をなくしたヴィクトリアの代わりに、大臣らと打ち合わせしたりして、徐々にその政治能力を発揮し、大臣たちの信頼も得ていったというのが真相のようです。
このドラマ、次のシーズンが現在イギリスで放送中ですが、さすがにクリフハンギングはありません。
今後、お子さんたちがどんどん生まれて育って、というお話が続くのでしょうか・・・?